「形容詞語幹単独用法について ―その制約と心的手続き―」(冨樫(2006))

〈要旨〉
 本発表では、「からっ」「さむっ」といった形容詞の語幹を単独で発話する用法について、現象の整理と用法の背後にある心的手続きを考察した。
 形容詞語幹単独用法は、瞬間性・即時性といった認識の側面と強く関わっており、瞬間性を持たない感情形容詞はこの用法を持ちにくい。また、属性・感覚形容詞でも、程度や度合いといった内実を判断するような意味を示す場合には、語幹単独用法になりにくい。さらに、伝達のニュアンスが基本形の発話と比べると薄く、単に自信の認識・判断を表出しているだけと解釈されやすい。
 このような現象の観察、および感動詞「あっ」「うわっ」との親和性から、形容詞語幹単独用法は認識から判断へ至る心的手続きの中間的な段階と対応していると考えることができる。


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