縦書きLaTeXの基本
日本語の縦組用の標準文書スタイルには tarticleとtbookの2つがある。 次の書式は縦組論文の場合であり、通常の論文スタイルとでは先頭の \documentclass{tarticle} の一行だけが異なっている。
\documentclass{tarticle} ...プリアンブル部 \title{題名} \author{著者名} \date{日付} .... \begin{document} \maketitle ...本文 ....... \end{document}
ルビをふる
漢字や略称などにルビをするためのパッケージには ruby.sty (文字コード ISO 2022-JP) または furikana.sty (文字コード Shift JIS)などがあります。
ルビのように、日本語に関するパッケージを利用した場合には、パッケージの文字コードを自分の使っているTeX環境に合わせて変更して、無用なトラブルを避けるように気をつけるとよいでしょう。 TsudaのTeXシステムはMacではUTF-8、WindowsではShiftJISとなっています。
標準的なTeXシステムに付属していないパッケージ(スタイルファイル)を\usepackage{...} で宣言してタイプセットするとエラーとなります。 こうした場合には、パッケージを検索してTeXファイルと同じフォルダに格納しておきます(パッケージファイルの効果的な管理法はあるのですが、利用するTeXシステムによって異なります)。
ルビを表示するのは,次のようにプリアンブル部でルビのためのパッケージ(スタイルファイル)の読み込みを宣言し、本文内でパッケージにって定められた書式に従ってルビを記述します。
\usepackage{ruby} %プリアンブル部で宣言 本文内で .... \ruby{熟語}{ふりがな} .... ruby{世界保健機構}{WHO}
または
\usepackage{furikana} %プリアンブル部で宣言 本文内で .... \kana{熟語}{ふりがな} .... ruby{世界保健機構}{WHO}
縦書きの脚注
横組文書における脚注 \footnote{...} は、その列の下ではなく、縦組では左端または最後ページに追い込まれてしまうために具合が悪い。 この不具合を修正するパッケージに kyakuchu.sty (文字コード Shift JIS)があり、次の書式に従う。
まず、マーク付きで脚注本文を kyakuchutext[マーク名]{脚注文} で定義しておき、それ以降の本文の箇所で \kyakuchumark{マーク名} によってマーク名を参照して脚注を付けるのである。 形式的には、次のように使う:
\usepackage{kyakuchu} %プリアンブル部で宣言 本文内で .... \kyakuchutext{脚注マーク1}{脚注文} \kyakuchutext{脚注マーク2}{脚注文} ... \kyakuchumark{脚注マーク1}脚注を付けたい本文 ... 文献\kyakuchumark{脚注マーク2}で解説....
パッケージkyakuchuを使った具体例を以下にしめす。同時に、従来形式の脚注 \footnote{..} も使っているので、その効果を比較検討されたい。
\documentclass[a4j]{tarticle} \usepackage{furikana} \usepackage{kyakuchu} \begin{document} 歌枕 \footnote{ 歌枕とは、和歌に引証される地名のこと。 }として、 \kyakuchutext{A1}{福島県白河市にあった奥州街道の関所。} \kyakuchutext{A2}{芭蕉「おくのほそ道」 萩原 恭男 校注、岩波文庫七九 (一九九一)。} \kyakuchutext{A3}{蓑笠庵 梨一「奥細道菅菰抄」(おくのほそみちすがもしょう。 文献\ref{A2}に付録として掲載)の注釈が、 典拠を明らかにしている。} \kyakuchumark{A1}白河の関は古来有名である。 ここより外は\kana{陸奥}{みちのく}として、 人々の旅情をかきたてる場所であった。 松尾芭蕉\kyakuchumark{A2}「奥の細道」 の白河(白川)の関の条には、この歌枕を読み込んだ \kyakuchumark{A3}古歌の一節がさりげなく引用されている。 \end{document}
具体的なTeX記述については、以上のことを説明した TeXソース(文字コード UTF8。そのタイプセット結果は tate.pdf を参照。2回以上のタイプセット処理が必要)を確認して自分でタイプセットしてみてください。。 ただし、TeXソースではパッケージ fancyvrb も使っている。
標準的なTeXシステムに付属していないパッケージ(スタイルファイル)を\usepackage{...} で宣言してタイプセットするとエラーとなります。 こうした場合には、パッケージを検索してTeXファイルと同じフォルダに格納しておきます(パッケージファイルの効果的な管理法はあるのですが、利用するTeXシステムによって異なります)。
演習
utamakura.txtを縦組で組んでみよ。
ヒント:パッケージ furikana.sty kyakuchu.sty を使うとutamakura.pdfを得ます。