《中國映畫コレ見ヨ(情念的・恣意的コラム)

1:愛しのレスリー・チャン

これは『AbocaVoしんぶん』(月刊新聞、送料込み年間購讀料1000円)創刊號からの転載である。

〜張國榮〜

 昨年、ビルの上から飛び降りると言う衝撃的な死を遂げた、香港の映畫スター張國榮(レスリー・チャン)は、その甘いマスクとは裏腹に、どこか硝子細工の様なひ弱 さを持っていた役者であった。

 彼は、香港映畫のスクリーン上で、多種多様な顔を見せ、現代劇・古装劇を問わず 多くのフアンを魅了させた。特に輕い乗りのコメデイーである、現代劇の『金枝玉葉 (1994)』・『金玉満堂(1995)』や古装劇の『花田喜事(1993)』は、甘いマスク と相俟って出色の感が有るが、それよりもどこか陰のある世を拗ねた様な役柄こそ、 彼の本領を発揮させたものではないのか、と言うより、どこか彼の地の部分が現れている様に思えてならない。例えば、1990年の現代劇『阿飛正傳』とか、1994 年の古装劇『東邪西毒』などである。

 その彼が、役者としての新境地を開いたのが、陳凱歌監督の要請に応じて京劇の女形役者を演じた、1993年の中國映畫『覇王別姫』であるが、その後の1996年 の『新上海灘』でも、1998年の『紅色戀人』でも、やはり何処かに陰影が感じら れる。

 その彼は、1978年に『紅樓春上春』でスクリーンデビューを果たすが、同じ78年には、連續テレビ古装劇『浣花洗剣録』で、初々しい立ち回りも見せてくれる。  さあ、22歳のずらを付けたレスリーに会ってみよう。

トップへ


[武侠小説の世界に戻る]