《中國映畫コレ見ヨ(情念的・恣意的コラム)

2:顎割れ美女ブリジット・リン

これは『AbocaVoしんぶん』(月刊新聞、送料込み年間購讀料1000円)2號からの転載である。

〜林青霞〜

 臺灣の女優林青霞(ブリジット・リン)は、端的に言って美人で、筆者の好きな女優の一人である。彼女が十代の終わりの時、偶々台灣で遭遇する機会が有り、その時「すごい美人だなあ」と思ったが、まさかこの様な有名女優になろうとは、當時は全く想像もしなかったが、とにかく顎の割れた凛とした中國美人であった事だけは、印象深く残っている。

 彼女は、1954年の臺灣生まれで、19歳の1973年に臺灣でスカウトされて藝能界入りし、その年の宋存壽監督の『窗外』で銀幕デビューを果たしている。殘念ながら、このデビュー作は見ていないが、一年後の同じく宋存壽監督の『古鏡幽魂』は見た。彼女は、1994年に結婚引退するまで、約百本前後の作品に出演しているが、1980年代から香港映畫にも進出し、臺灣映畫と香港映畫との割合は、ほぼ半々である。彼女は、1990年の『滾滾紅塵』で第27回臺灣金馬奨主演女優賞を受賞しているが、それよりも筆者には、1992年の臺灣映畫『暗戀桃花源』で、彼女の肉聲(それまでの作品は殆どが吹き替え)が聞けたのが、特に思い出深い。

 敢て言えば、彼女は「宝塚的美女」であり、筆者は彼女が何を演じても許してしまう(美女の美女たる所以が、演技の善し悪しを凌駕していると、勝手に思いこんでいる)が、三代美女の共演と銘打ったリメイク版『天龍八部』の林青霞(二役を演じている)は、どことなくゾクッとする色気と凄みを漂わせており、『火曇傳奇』にしろ『笑傲江湖』にしろ、『刀・劍・笑』にしろ『白髪魔女傳』にしろ、『新龍門客棧』にしろ『東邪西惡』にしろ、演じるたびにそれぞれ異なった妖艶さを見せてくれる女優であり、男装の麗人役を演じさせたら将に天下一品である。

 この林青霞を見せるための林青霞の映畫とでも言うべき感無きにしも非ずと言う作品が、『東方不敗風雲再起』であるが、惜しいことに現在は結婚して休業中で、今や彼女も一児の母である。しかし、最近再デビューの噂もちらほら有り、一寸樂しみである。

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