《中國映畫コレ見ヨ(情念的・恣意的コラム)

7:俺はテレビの大明星、黄日華

これは『AbocaVoしんぶん』(月刊新聞、送料込み年間購讀料1000円)7號からの転載である。

〜黄日華〜

 筆者の好きな役者の一人が、黄日華である。彼は1961年の生まれであれば、今44歳である。彼は、1982年以後TVBの人気若手五人衆「五虎將(劉徳華・梁朝偉・黄日華・苗僑偉・湯鎮業)」の一人として、活躍し出すのである。

 何故彼が好きかと言えば、それはひたすらテレビに出演するからである。五虎將の内、劉徳華・梁朝偉は、香港を代表する映画スターとなっているし、苗僑偉・湯鎮業も映画に出演する。この様に香港の役者は、先ずテレビで人気を得ると、その人気をバックにして映画界に進出し、スターとなって行くが、一度大スターとなると、古巣のテレビにはあまり出なくなる。その代表的な例が劉徳華と梁朝偉であろう。例え大スターとならなくても、映画とテレビの二股家業で生きて行くことになるが、苗僑偉や湯鎮業がそれであろう。しかし、黄日華は異なり、彼は徹底してテレビである。言うまでもなく彼は、香港を代表するスターであるが、まるで自分をスターにしてくれたテレビに忠義立てをするが如く、テレビに出まくるのである。

 彼のブラウン管デビューは、19歳の時の「過客」(1980年)であり、本格的活躍の始まりは、その2年後の21歳の時の古装劇「仏山贊先生」「天龍八部之虎竹伝奇」「十三太保」(共に1982年)からである。無論彼は、全く映画に出ないと言う訳ではなく、1983年の「瘋狂」で銀幕デビューを果たしてはいるが、2003年の「非典人生」までの20年間に、僅か8本前後である。それに比べてテレビは55本前後にのぼり、ほぼ年間3本弱のペースである。その内訳は、2001年の古装劇「蕭十一郎」に至るまで、現代劇30本弱、古装劇30本弱と言う具合で、ジャンルを問わず、満遍なく出演しているのである。

 では彼は、映画向きではないのかと言えば、決してその様なことは無い。主役を張っている訳では無いが、可成り存在感の有る役所を演じている。しかし、映画の8本前後に比べてテレビの55本前後と言う数は、彼が圧倒的にテレビ役者であることを、端的に示す数字である。このテレビにこだわる姿勢は、役者の能力とか、向き不向きとかの問題では無く、彼の生き方の様に思えてならない。1999年の「雪山飛狐」で見せた姿は、どこか円熟味を感じさせた。そして2001年の「蕭十一郎」では、まるで「俺はテレビの黄日華だぜい」と言い放っている様であった。確かに彼は香港のテレビスターであり、電視大明星黄日華なのである。

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