ギャラリー解説
黄銅器
清黄銅康煕詩錢一種(康煕時代、AD1662〜1735) |
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左(面)・・同福臨東江、宣原蘇薊昌、右(背)・・寧何南廣浙、臺桂陝雲ショウ 径・・4.5cm 厭勝錢の一種ではあるが、数有る厭勝錢の中でも特別な物で、特に「康煕詩 銭」と呼ばれている官局が鋳造した厭勝銭で、康煕通寶の両面に唐詩の五絶 を模して片面十字の「同福臨東江、宣原蘇薊昌」「南河寧廣浙、臺桂陝雲章」 の五言句が鋳られているが、これは、康煕時代の二十省の造幣局の簡称を 鋳込んだもので、そのため一般的には、表記の形態から「康煕詩銭」と呼ば れるが、その内容から「康煕二十局銭」と呼ばれることも有る。以下にこの二 十局を示すと、同は山西省大同府局・福は福建省福州府局・臨は山東省臨 清局・東は山東省濟南局・江は江南省江寧府局・宣は直隷省宣府局・原は山 西省太原局・蘇は江蘇省蘇州局・薊は直隷省薊州府局・昌は江西省南昌局 南は湖南省長沙府局・河は河南省開封府局・寧は甘肅省寧夏府局・廣は廣 東省廣州府局・浙は浙江省杭州局・臺は福建省臺灣府局・桂は廣西省桂林 府局・陝は陝西省西安局・雲は雲南省雲南府局・ショウ(さんずい+章)は福 建省ショウ州局、と言う具合である。この康煕詩銭は鋳造当時から私鋳の僞 品が多かったと伝えるが、本品は、本来時計回りに「南河寧」となるべき所が 「寧何南」となり、しかも「河」が「何」に作られている。恐らく当時の私鋳品であ ろうと思われる。 |