ギャラリー解説

古陶磁器

市村義久氏特別寄贈品

樞府手白磁(卵白釉)印花福禄雙鶴文鉢(元時代、AD1271〜1368)

高さ10cm、口径20cm、底径6.8cm

内側は印花(型押文)の雙鶴紋と雲紋で、その間に「福禄」の二文字が配され、外側は刻花で

口縁部に渦巻き紋・足部分に蓮弁紋が描かれ、しっとりとした白色失透釉がかけてある。元朝

の枢密使の府で使用する官器として景徳鎭で作らせたと言われている、所謂元白磁の代表作

である「枢府手(枢府の二字や福禄の二字などを、碗内印花紋の間に配している)」白磁で、腰

のあたりの作りが厚く、やや開き気味の高台は無釉で内部は兜巾状を呈している。一般的に

枢府白磁の生産は1300年代14世紀に入ってからと言われている。本品は、惜しいことに口

縁部に三カ所の直しと五本の入が見られるとは雖も、元の「枢府手(福禄)」白磁の貴重なサン

プルである。本品と同形態同紋様の鉢は北京の故宮博物院に所蔵されており、亦やや口開き

形態で同紋様の鉢が東京国立博物館に所蔵されている。尚、本品は市村氏の特段の御芳情

に因り、当研究室に御寄贈を賜った品である。


[ギャラリー一覧へ戻る]