ギャラリー解説

古陶磁器

倣明祥瑞手青花山水丸文碗(民國時代、AD1912〜1949)

高さ5.7cm、口径12.8cm、底径6.3cm

在銘、五良大夫呉祥瑞造

見込みに楼閣紋、口縁内には丸紋繋ぎが一周し、外面

は片身替わりの意匠で、上部は幾何学紋である菱格子

紋と線紋に各々花紋と丸紋を配し、下部は山水紋と捻り

紋に丸紋と渦紋を配し、口縁には鉄釉の茶の口紅が施さ

れている、と言う具合で、意匠の異なる紋様を大胆に組

み合わせて全体を構成する、「祥瑞模様」と称される絵柄

で、高台の畳付けも所謂「蒲鉾高台」作りで、一見祥瑞も

のの本歌の様に見られ、類似の碗が東京国立博物館に

「青花花鳥山水文碗」として蔵されているが、実は本品は

尤も肝心な胎土が本歌(黒い細砂の混じった胡麻塩土)

と異なり、綺麗な白土であり、更に捻り紋中に書かれた「

春眠不覺暁、處處聞啼鳥、夜來風雨聲、花落知多少」の

句の「覺・處・來・風・聲」等の字が、明末時期に使用され

ている漢字と異なり、亦青花の色調がやや薄く、構図も

若干粗い。因って後世の倣品たることは明白であるが、

問題は写しの時期で、釉薬の結晶状況等から民国時期

と措定した。尚、祥瑞もので「五良大夫呉祥瑞造」の在銘

ものは、大概清末から現代にかけての写し、所謂倣品で

ある。

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