ギャラリー解説

古陶磁器

蘆鈞窯澱青釉紫紅斑乳釘水盂(民國時代、AD1912〜1949)

高さ3.4cm、口径5.8cm、胴径8.5cm、底径4.7cm

宋代五大名窯の一つである河南省禹州鈞窯の作品は、宋

元時代が中心であるが、既に晩唐時期には「唐鈞」と称され

る品を作っており、宋元に至って一代隆盛を迎えるが以後

は衰退の一途を辿る。しかし清朝中期頃に至ると鈞窯の釉

薬を模した爐鈞釉と称される倣鈞窯品が景徳鎭・宜興窯・

広東石湾窯等で作られるようになる。更に清朝後期に至る

と本家の禹州でも宋鈞の復元が謀られ、蘆氏三兄弟(天恩

・天福・天増)の努力の後、清末から民国初期にかけて蘆氏

の第二世代名工蘆光東に因る復元宋鈞窯が作られ、以後

今に至るまで鈞窯は作られ続けている。その中で、特に清

末蘆氏の復元宋鈞窯は、本歌の宋鈞窯に匹す敵る程の出

来映えで、当時中国の骨董商の間では「蘆鈞に騙されるな」

との警句が囁かれ、実際大英博物館にはこの蘆鈞窯乳釘

罐が宋鈞窯として収められている。この蘆氏復元鈞窯は特

別に「蘆鈞窯」と称し、他の倣鈞窯や爐鈞窯とは区別してい

る。本品は、宋代の乳釘三足洗を模して小型化した水盂で

、胎土・色調・紅斑・高台作り等から、恐らく民国時代の蘆

鈞窯ではないのかと推測されるが、或いは民国以後の蘆鈞

の写し倣蘆鈞窯かもしれない。


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