ギャラリー解説

古陶磁器

外銷瓷青花格子文象形(軍持)水瓶(明末期時代、AD1621〜1661)

総高24.2cm、胴高12.9cm、横18.5cm、厚さ15.9cm

水瓶は仏教に於ける水を入れる瓶で、比丘(尼僧)の持つ18種の

持ち物の一つで、サンスクリット語の「グンデイ」の音訳で「軍持」と

書かれ、所謂「浄瓶」のことである。本品は、胴継ぎで形成され、取

手の口部分の形態や青花の色調・紋様は明末の風情を示してい

るが、上薬の透明釉が薄い豆青釉であれば、或いは清朝初期ぐら

いまで下る可能性も有る。外銷瓷とは輸出用瓷器のことで、米国

のメトロポリタン美術館には同形態の軍持が萬暦の外銷瓷として

所蔵されている。本品は萬暦ものと比べるとやや形式化した形態

で、例えば、二本の牙が短い点、首に付けられた出っ張りは本来

は鼻の変形で牙の間から延びていなければならない点、等々であ

り、明末の萬暦写しの要素が強い。


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