ギャラリー解説

古陶磁器

倣雍正粉彩倣古月軒月季蘭花圖長頸瓶(清末期時代、AD1875〜1911)

高さ20.7cm、口径4.2cm、頸高13.1cm、腹径13.5cm、

底径7.4cm、在銘、二重丸圏青花大清雍正年製款

形態も絵柄も本物にそっくりであるが、釉調が異なる。また本物の銘文

は大清乾隆年製であり、大きさも手の上に乗る程度の小型である。俗

称「古月軒」(宮中の顔料製造処に胡大有なる人物名が存在したことか

ら、この様に呼ばれたらしい)と呼ばれている本歌は、現在台湾故宮博

物院に収蔵されており、その顔料は琺瑯彩で落款は二重角圏宋体藍

料款である。琺瑯彩と粉彩の顔料的相違は、琺瑯彩は顔料中に砒素

と硼素を含むが、粉彩は砒素は含んでも硼素は含まないことである。清

朝後期以後、陸続として倣古月軒物が作られているが、その大半が例

え落款を宋体藍料款で表しても絵付け顔料が粉彩であり、厳密な意味

では「倣古月軒」とは言えず、所詮「倣粉彩古月軒」に過ぎず、将に本

品の如き物がそれである。尚、余談ではあるが、現在宋体藍料款を施

した「倣粉彩古月軒」が大量に出回っている。亦、清末期の「倣粉彩古

月軒」物には、概して青花款の物が多い。


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