ギャラリー解説

古陶磁器

宜興窯爐鈞釉壺(嘉慶年間、AD1796〜1820)

高さ14.7cm、口径11.4cm、胴径22cm、底径12.5cm

在銘、葛明祥造(陽刻方印)

清朝の乾隆・嘉慶年間に在って、宜興窯で爐鈞釉の壺

を製作していた葛明祥の作品である。胴継ぎの堂々た

る壺であるが、惜しむらくは爐均釉の発色が些か悪く青

色よりも褐色が勝っている。恐らく燃焼温度が低すぎた

ためで、釉表上に小さなピンホールが認められる。宜興

の爐鈞釉所謂「宜鈞」に関しては、清朝中期に活躍した

葛明祥(親・子・孫の三代に渉ってこの名を使用したと言

われている)や、清朝末期の名工葛徳和(水盤や鉢を得

意としている)があまりにも有名で、後世の「宜鈞」作品

には往々にして彼等の名を冠した倣品が氾濫し、時に

は日本の海鼠釉火鉢などにもその名が使われている。


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