ギャラリー解説
古陶磁器
倣南宋青白磁線刻牡丹文六管口壺(現代、AD1990〜2000) |
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総高15cm、蓋高4.2cm、蓋径3.5cm、管高4.3cm、 管径0.8cm、肩径11.2cm、底径5.5cm、銘「水母」 実に不思議なものである。多嘴壺の一種である管口壺であ るが、青白磁の遺例は見当たらない。管口壺は五代時代の 白磁に六管口壺の遺例が有るものの、宋代に入ると遺例 の殆どが越窯や龍泉窯の青磁で、しかも五管口壺である。 中央の口に屋根や蓋を乗せる形態は五代から北宋にかけ て見られ、北宋の管は腹部に通じていないが南宋の管は腹 部に通じている。本品は、蓋と管は五代を模し、腹部の片刃 線刻紋は北宋様式で、管が通じている様は南宋的である。 管口壺のそれぞれの特徴を取り込んだ、「現代青白磁オブ ジェ」として見れば、それなりに面白く楽しい形態だと言えよ う、因って「水母」と命名した。倣品には倣品の面白さが有り 民國時代までは「如何に本歌に真似るか」一点一点技を競 った様な部分も見受けられるが、近年の倣品は倣品と言う のも憚られる様な「売らんかな」の新物の反乱で、一つ梅瓶 を作れば同じ形態の青花・釉裏紅・掻き落とし・三彩が登場 すると言う具合で、本歌が有ろうが無かろうがお構いなしと 言う状況である。本品も本歌は存在しないが、それでも意匠 が面白いから許せると言う程度である。 |