ギャラリー解説

古陶磁器

釉裏黒牡丹唐草蓮葉文壺(元時代、AD1279〜1367)

高さ12cm、口径4cm、腹径11cm

絵付け薬に酸化鉄を使用したものが、釉裏黒であ

るが、あまり數は多くない。何処の窯かは不明であ

るが、巻き上げで作られており、本来は蓋が有った

ものである。年代は、紋様から一応元代と措定した

が、或いは明代まで降る可能性も有る。所で釉裏黒

とは、あまり聞き慣れない言葉であるが、胎土の上

に酸化鉄の顔料で紋様を描き、その上に透明釉の

上薬をかけた物が釉裏黒であり、酸化銅の顔料で

絵付けした物が釉裏紅、酸化コバルトの顔料で絵

付けした物が釉裏青である。則ち、「黒・紅・青」の違

いは、基本的に顔料の違いであるが、一般的に酸

化鉄物は「鉄絵物」と呼び、酸化コバルト物は「青花

或は染め付け」と呼ぶため、発色の悪い黒っぽい釉

裏紅を、誤って釉裏黒と称する事例が多々有る。


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