ギャラリー解説

古陶磁器

黒衣灰陶鏤孔圏足豆(江南良渚文化系、BC3000〜1400)

高さ21.7cm、皿径16.7cm、足径17.4cm

長江流域の江南地方で栄えた、良渚文化系の黒陶土器

の豆であると思われる。一般的に黒陶と称しているが、

胎土は泥質の灰陶で表面が黒くしてあり、正しくは黒衣

灰陶である。皿の部分が破損したため、大きく補修され

ているが、皿部以下の鏤孔の圏足部分は原形のままで

ある。現在、張陵山文化を青蓮岡の末期に連なるものと

するのか、或いは浙江省良渚文化の先駆けとするのか、

議論の最中であるが、何れにしても、青蓮岡のッ澤・張

陵山系と良渚文化系の黒衣灰陶ものは、形態も泥質も

極めて類似している。本品は、皿の部分が原型と異なる

(本来の江南出土の豆の皿部分はもっと平べったく、深

みの有る皿は河北の形態であり、可成りいい加減な補修

である)ため判断に苦しむが、鏤孔の樣はッ澤系に近く、

足形は良渚文化系、高さのバランスはその中間と言う具

合であれば、良渚文化初期と措定はしたものの、青蓮岡

文化の後期に当るッ澤・張陵山文化系の可能性も有る。


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