ギャラリー解説

古陶磁器

粉彩陶板戯曲題材春宮圖四種(民國以後、AD1950〜1990)

縦13.2cm、横9.4cm

民國以後の春宮圖陶板で、絵柄が洒落ており粉彩も美しい。同系統の絵柄ではある

が、一応それぞれモチーフが有り、戯曲から各々画題を得ている。春宮圖は、基本的

に一種の嫁入り道具で、「枕辺書」・「嫁粧画」とも呼ばれ、母親がこっそり娘の道具箱

の中にしのばせる意味で、「底箱画」とも呼ばれており、そのため概して小型の品が、

多いのである。何れにしても当時の社会性風俗を窺い知る貴重な資料と言えよう。本

来この様な古典的絵柄の女性は、一般的に纏足の足に描かれるが、本品は全て靴を

履いた普通の足である。しかし、このことが逆に考証の正しさを示している。なぜなら、

纏足が一般化するのは宋代以後だと言われており、それ以前は普通の足である。下

に示した如く、本品の画題は全て唐以前の話である。とすれば、普通の足に描くのが

正しい表現であって、逆に纏足に描くのはいかがわしい表現と言えるのである。

上段左・・元の『漢宮秋』で王昭君と呼韓邪單于が題材(漢代)、

画讃は「千載琵琶作胡語、分明哀怨曲中論」と書かれている。

上段右・・明の『還魂記』で麗娘(貂蝉)と柳晋卿(呂布)が題材(唐代)、

画讃は「牡丹亭畔訴心事、纎手焚香告天地」と書かれている。

下段左・・明の『西園記』で玉眞(西施)と張継華が題材(唐代)、

画讃は「西家兒女浣沙溪、苧蘿村里結郎君」と書かれている。

下段右・・清の『長生殿』で楊貴妃と玄宗皇帝が題材(唐代)、

画讃は「春華賜浴華清池、君皇喜戯美貴妃」と書かれている。

つまり、中国四大美女と称される「昭君出塞」・「貂蝉拝月」・「西施浣沙」・「楊貴酔酒」

が題材となっている。


[ギャラリー一覧へ戻る]