ギャラリー解説

古陶磁器

吉州永和窯黒釉描金梅花文字文碗(南宋時代、AD1127〜1279)

高さ6.1cm、口径11.4cm、底径3.8cm

吉州窯の黒釉描金ものである。描金と金彩とは異なり、金彩は

黒釉の上に金彩で模様を描いたもので、国立博物館に所蔵され

ている「黒釉金彩福山壽海文碗」が、その代表である。これに対

し描金とは、黒釉の表面に極細の刃で線文を描き、その上に金

を埋めるもので、香港の關氏所蔵「黒釉描金兔毫盞碗」が代表

的な品である。本品は描金もので、見込みに梅花紋が、側面に

描線と「福壽山海」の文字が描かれ、描金の代表的梅花紋と金

彩の代表的福山壽海紋とを合わせたが如き紋様で、描金と金彩

との関係を考える上での、貴重な資料であるとも言えるのである

が、描金紋様があまりにも大雑把であり、好く言えば描金の下手

作品であるが、客観的には発掘後の後描金の可能性が有る。

[ギャラリー一覧へ戻る]