ギャラリー解説
古陶磁器
倣康煕粉彩花鳥瑞獸文蒜頭口象耳大瓶(清末期時代、AD1875〜1911) |
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総高52.1cm、頸高24.3cm、口径8.7cm、胴径27.2cm、足高9.7cm、 底幅23.8cm、在銘、康煕鎮遠府藏(青花楷書款) 見事な大型瓶である。「鎮遠府」とは地方行政区の名称であり、一応元 代から置かれているが、一般的に名が知れ渡るのは明代からで、清朝 も引き続き設置されており、所謂「貴州鎮遠府」である。『清史稿』の「輿 服志」に因れば、武官一品の服には「麒麟」を描き、文官一品都御史の 服には「カイ(けものへん+解)チ(豸)」を描くと記されているが、本瓶は 全面に粉彩で花卉紋様を描き、頸の部分は前後に四角く枠取りしてそ の中に花鳥紋様を描き、胴体部分は左右に蝶形に枠取りした中に、朝 顔と蟋蟀・葡萄と蟷螂を描き、前後には菱形に縁取りした中に、夜を司 り邪悪を弁ずる神獣「カイ豸」と、昼を司り邪悪を弁ずる神獣「麒麟」とを 描くと言う具合で、将に鎮遠府藏に相応しい絵柄である。本品は、口・頸 ・足の三箇所で継ぎ足された「三段継ぎ」形式で造型されている。因み に、康煕四十五年(1706)四月には、当時貴州都督の地位に在った李 芳述に鎮遠将軍が加官されていれば、或いは彼の子孫が祖先の業績 を記念して作らせた、康煕〜乾隆時期の品と言う夢も生じて来る。尚、 本来は一対ものであったはずである。 |