ギャラリー解説

書画

學海依田朝宗、行書七絶(幕末維新、AD1833〜1909)

紙本肉筆・・縦106.4cm、横30cm

「學海百川」の下に、陰刻「依田朝宗」と陽刻「百川」の

落款が押されている。依田學海は下総の人で、名は

朝宗、字は百川(後に名とする)、号を学海・柳蔭など

と称し、佐倉藩士依田正剛の次男で、藩校成徳書院

に学んで教授となり、更に経史を藤森天山に師事して

同門の川田甕江とは深い親交を結び、江戸藩邸留守

役などの重職を務め、維新後は一時期文部省に奉職

するも、辞職して著述業に専念した漢学者にして文芸

評論家で作家である。また森鴎外の師としても知られ

ており、『ヰタ・セクスアリス』の文淵先生のモデルであ

り、歌人依田秋圃の叔父でもある。彼は漢文の記事文

に特に優れており、その『譚海』は菊池三溪の『本朝虞

初新志』と並称されている。更に45年に及ぶ日記『学

海日録』には、森鴎外・幸田露伴・市川団十郎・徳富蘇

峰・伊藤博文等々、明治各界知名の士との交友が記

され、文学論・政治論・演劇論・社会時評等々にも及ん

だその内容は、明治文化史の貴重な資料でもある。


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