ギャラリー解説

書画

傳・黙齋稲葉正信、草書五絶(江戸時代、AD1732〜1799)

紙本肉筆・・縦122cm、横29cm

「黙齋」の下に、陽刻「黙齋」の落款が押されている。稲葉

黙齋は江戸の人で、名は正信、号を黙斎と称し、崎門学

派の儒者佐藤直方の高弟稲葉迂斎の次子で、初めは家

学を受け、次いで野田剛斎に師事し、崎門学派の朱子学

を信奉し、唐津藩主土井侯に仕え、土井侯の古河移封に

伴い、古河藩藩校盈科堂で講説した儒者である。本品は

稲葉黙齋の作と「伝」するが、落款と印象の「黙斎」と筆遣

いとに因る判断であり、江戸中期から後期にかけての品

であることは疑い無いが、該当時期に黙斎と号した儒者

は、崎門学派の宇井黙斎(1725〜1781)や朱子学者

の中山黙斎(1762〜1815)もいる。果たして稲葉黙斎

なるや否や、博雅の士の教えを切に請うものである。


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