複製・華嵒、敦煌仕女圖（民國後半、AD1930〜1949）

絹布コロタイプ印刷・・縦37.5cm、横298cm

華嵒は、康煕二十一年（１６８２）〜乾隆二十一年（１７５６）の人で、字を�ｺ嵩、号を秋岳・新羅山人・白沙道士

などと称した、福建の書画家で、人物・山水・花卉・書を得意としている。本品は、その華嵒の敦煌仕女圖を民

國２９年に入手して慶んだ董壽平が題讃を書き付けたものの複製で、末の題讃に「歳次庚辰年、壽平識」と有

るが、「壽平」とは山西の「董壽平」のことで、彼は、１９０４年（光緒三十）から１９９７年まで生存した画家で、

幼少から書画を愛し、特に歴代諸家の名迹を研究したことで、知られている。本品は、麗々しく乾隆帝の「古

希天子（陽文）」とか「御書臣鑑藏寳（陰文）」なる落款が押されており、如何にも宮中の御物が清朝崩壊後に

董壽平の手に渡った様な様相を示しているが、この様な形態の「古希天子」なる落款は見たことが無く、また

絵の仕女の様相も、敦煌仕女というより印度仕女の風采で、この様な絵を華嵒が模写したとは考えられず、

更に董壽平が、「此敦煌圖、綫条優美、人物各有風韻、再現了唐代仕女風姿、實爲稀世珍品矣」と讃を書き

付けるなど、一寸出来過ぎた話である。因って、これは華嵒と董壽平の名を騙り、如何にも複製品らしく見せ

た、当時のお土産品贋物であろう。