ギャラリー解説

書画

無劍渡邊千冬、隷書五字(近代、AD1876〜1940)

紙本肉筆・・縦129.5cm、横30.5cm

「無劍」の下に、陰刻「渡邊千冬」と陽刻「無劍逸

侠」の落款が押されている。渡邊無劍は長野の人

で、名は千冬、号を無剣と称し、日本製鉄所・日

仏銀行等の取締役を務めた後、政界に転じて濱

口・若槻の各内閣で法務大臣を務めた人で、子

爵の実業家にして政治家であるが、能書家として

も知る人ぞ知る人物で、将棋の駒の字母を揮毫

しており、明治から大正にかけて活躍した駒師の

初代豊島龍山が残した「字母長帖」には、「前司

法大臣渡邊千冬 号無劍」と記載されており、そ

れに因れば、表は隷書で裏は篆書のコラボレー

ションで、特に歩の「と金」の篆書が独特である。


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