ギャラリー解説

書画

某氏大素、隷書五律(江戸時代、AD1750〜1850)

紙本肉筆・・縦106cm、横28cm

陽刻「埜大素」と陰刻「元慎子」の落款が押されて

いる。江戸時代の作であることは明白であるが、

作者が一体誰なのか不明である。「大素」と言わ

れて直ぐに思い浮かべるのは、肥後の儒者であ

る伊形霊雨(名は質、字は大素、1745〜1787)

であるが、これは該当しない。何故なら本品の作

者は、名が大素で字が元慎であり、しかも姓の一

部に「野」が付く。軸の外側には「林大学」と書か

れているが、これは印象の「埜」を「林土」と読み

誤った為の結果であろうし、更に歴代林家の大学

頭には、大素なる名の人物は存在しない。なかな

か見応えの有る隷書ではあるが、一体誰なのか、

博雅の士の教えを切に請う所である。


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