傳・鵞堂小野ｶﾝ（金＋�閨j之助、行書十四字（近代、AD1862〜1922）

紙本肉筆・・縦130cm、横31cm

「鵞堂書」の下に、陰刻「小野ｶﾝ（金＋�閨j印」の落款が押されている

。小野鵞堂は駿河の人で、田中藩武道師範小野成命の長男で、名

はｶﾝ（金＋�閨j之助、字は金間、号を鵞堂・斯華廼舎などと称し、幼

にして父を失い、漢学を成瀬大域に、国学を小中村清矩に学び、大

蔵省の書記や日本新聞社の社員などを務めながら、成瀬大域の門

下生として書の研鑽を積み、三条梨堂や東久世竹亭らと交流し、明

倫歌集の歌がるたを昭憲皇太后に奉献して書名を一時に挙げ、華

族女学院に奉職して貞明皇后にも書を教授し、東宮御用係も務め

た仮名の書家で、その調和体は他の追随を許さないと言われてい

る。本品は漢字であり、仮名作家である鵞堂の作品としては極めて

珍しい、陽刻の関防印に「大正乙卯即位記念」と有れば、大正四年

（１９１５）５３歳の時の作品でとなるが、所謂「伝」の品である。