ギャラリー解説

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2023、7、22)

縦横・・2.5x2.5cm

『新五代史』馮道傳の一句を、古璽文で刻した「佛出救

不得」(佛出づるも救ひ得ず)である。馮道は、唐末五代

の時代に五朝八姓十一人の天子に仕えた漢人官僚で

、この言葉は遼の太宗に語ったもので、直ぐ後に「唯だ

皇帝のみ救ひ得たり」と續けている。宋代の儒者は、複

數の政権に仕え、天子を佛の上に置く様な發言等で、

無節操の變節漢として非難するが、亂世に當たり民政

の安寧を第一に考えて發言し、この一言が遼に因る河

北の蹂躙から救った點等から名宰相との評価も有る。

亂世なればこその名宰相で、亂世の奸雄ならぬ亂世の

能臣、名臣であったと言えよう。尚、彼は儒教經典の最

初の木版本である、五經の出版にも盡力している。


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