ギャラリー解説

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2023、10、2)

經・・8.4x2.5cm

本來ならば「眉壽延年」であろうが、己自身は別の感慨

が生じて來る。無意識の意識とでも言うか、毎年を年ご

とにリセットしたい、其處から歳を増やさないと言う思い

が、特段意識していなくてもふと生じてくる。眉壽にとって

は、「延年」は好むと好まざるとに關らず、意識される彼

岸へのカウントダウンでもある。故に、この歳がチャラに

なってもう一度始まったら等と、出來もしない事が一瞬

頭を過ぎり心を掻き乱す。「生死は一時」を悟れない己

が、其處には居る。因って、「延年」ならぬ「廷年」とし「廷

」を「平」つまり「たいら」と訓ずる事とした。「平」ではなく

敢て「廷」を使ったのは、無意識の意識を表したかったか

らである。小篆で刻した「眉壽廷年悲喜之有」(眉壽は年

を廷《たいら》にし悲喜之れ有り)である。


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