ギャラリー解説
書画
黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2023、10、19) |
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縦横・・8.3x2.5cm 半世紀以上昔、島根の山奥から東京に出るに當り、祖父 が贈ってくれた言葉である。祖父は、偉くなれとか、出世し ろとか、金持ちになれとか、真面目に勉強しろとか、全く 言わなかったが、出發の前夜送別の辞を書いてくれた。 「有って便利な物は買うな」と「有義の人たれ」のたった二 言であった。甲骨文で刻した「爲有義之人」(有義の人爲 《た》れ)である。確かに祖父は有義の人であった、子供 であった小生の眼前で、某人に向かって「貴様は」と言う と日本刀を振り下ろした、切りつけられた某氏も、身じろ ぎもせずたった一言「だんさん、こらえてつかあさい」、こ の遣り取りも「義」故の事であった。改めて我が生涯を振り 返るに、果たして己は有義の人たり得たであろうか、殘念 ながら祖父の有義は受け繼げなかったが、あの時の刀、 十五代兼定、俗に安政兼定の名刀は、己が受け繼ぎ今 手元に有る。 |