ギャラリー解説

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2023、11、9)

縦横・・4.9x2.5cm

『老子』第六十四章の一句を、古璽文出刻した「千里之

行始於足下」(千里の行は足下に始まる)である。如何に

遠くても如何に困難でも、其の始まりは己自身の一歩か

らである。しかし、老人は其の一歩がなかなか踏み出せ

ない。勇氣が無い譯でもなく、決斷しない譯でも無い。た

だ面倒で億劫な感情に流されてしまうのである。物事の

始まりは、己の第一歩からとは、十分過ぎる程分かって

はいるのであるが、其れでも億劫な感情が、其の一歩を

止めてしまう、所謂老化現象であろう。石を刻する事に

は少年の如き喜びを感じるが、筆を持つ事は甚だしい

老化現象に陥っている。


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