ギャラリー解説

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2023、11、11)

縦横・・4.9x2.5cm

己は山陰の静かな山奥で生まれ育った爲、どうも賑やか

な所は苦手である。上京後も可能な限り静かな所を選ん

でいたが、一家を構えた後も基本的には變らない。退職

後は隣家の老夫婦と静かな老人生活を行くって居たが、

何と何と眼前の駐車場に新築の三階建て家屋が七棟も

出現した。隣家も我が家も新築の影に隠れて、西日が弱

くなったのはまあ良いが、来年早々に新たな家族が入居

される。三階建て故に子供連れの若夫婦であろうと想像

するが、一家に二人のお子様達とすると、十四人の子供

達が一氣に増える事になる。老夫婦とメダカの静謐な生

活が、急に騒がしくなるであろう、と勝手な想像をすると、

何か心が落ち着かない。一体どうなるんだろう、と隣家と

話し合っているが、この歳で新たな近所付き合いも、些か

氣後れしてしまう。小篆で刻した「去靜境付喧騒」(靜境を

去り喧騒に付く)である。


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