ギャラリー解説

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用遊印一顆(現代、AD2023、12、8)

縦横・・3.8x1.7cm

金文で刻した「孑立歩歩」(孑立歩歩す)である。毅然と孤

立して一歩一歩進む事を表した言葉で、西晉の李密の「陳

情表」に、「煢煢として孑立し形影相弔ふ」と有り、晩唐の詩

人杜荀鶴の茅山詩に「歩歩して山門に入り、仙家鳥徑分か

る」と有る。己が身體に次々と問題が見つかる状況に在っ

て、歩歩として一つづつ解決し進んではいるが、心情として

は形影相弔ふ感無きにしも非ずである。己の一歩は、延長

される此岸の一歩かそれとも彼岸への一歩か、見通しの立

たぬ現状がもどかしい。敢て口にこそ發しないものの、布

団に入ると無意識に妻や子供達の顔が浮かび、萬感の想

いが脳裏を駆け巡る。


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