ギャラリー解説

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2024、4、28)

縦横・・2.4x2.4cm

『論語』衛霊公篇の一句を、金文で刻した「一以貫」(一

以て貫く)である。何が「一」か、孔子は「恕」だとした。し

かし「一」とするものは人各々であり、「信」も有れば「義」

も「愛」も「禮」も有る。では己は何を「一」として來たであ

ろうか、熟々考えるに其れは「生きる」と言う事であろう。

忘れもしない昭和二十九年四歳の時、偶々突發的に

人が殴り殺されると言う惨劇を眺めていた。其の時己の

心に去來したのは、恐怖心では無く、人は何時何が起こ

るか分からない、其れは自分とて同じ事だ、と言う思い

であった。以來兎に角日々生き抜くつまり「生」が「一」

になった様に思える。しかし最近「もうそろそろええんと

ちゃうか」と囁きかける、もう一人の己が居る。


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