ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2024、6、10)

縦横・・5x3cm

古璽文で刻した、「心如金石志似松筠」(心は金石の如

く、志は松筠に似たり)である。志操や節義を堅く維持し

變らない事を現した言葉で、良く揮毫されるが、出典は

明の『三國志演義』の「長阪坡」部分の割り注で、糜夫人

を評した言葉である。この二句自體は『演義』が初出の

様であるが、各々依據する古典が有って、前半の「心云

々」は、『後漢書』王常傳で光武帝が王常を評した言葉

に、「此の家下江の諸將を率いて漢室を輔翼し、心は金

石の如く、真の忠臣なり」と有り、後半の「松筠」は、『禮

記』の禮器篇に、「其の人に在るや、竹箭の筠有るが如

く、松柏の心有るが如く、二者は天下の大端に居る」と

有るのに基づく。『三國志演義』の「長阪坡」と言うと、恰

も關羽か趙雲を評した語かと思ってしまうが、實は女性

の糜夫人の生き様を評した言葉なのである。


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