ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰刻自用印一顆(現代、AD2024、6、27)

縦横・・3x3cm

『論語』先進篇の一句を金文で刻した、「非曰能之」(之

を能すと曰ふに非ず)である。この言葉は、孔子が弟子

に各々志しを述べさせた時に、公西華が答えた一言で、

「決して其れが出來ると言う譯ではありませんが、どうか

學びたいと思います」と答えている。己の石彫りなど初手

から「之を能すと曰ふに非ず」であるが、學ぶのみならず

「日々唯之を爲すのみ」である。何の進歩も見られぬ石

彫りに過ぎず、徒勞と時間の浪費とのご指摘も賜るが、

目指せ駄印千個で樂しんでいれば、殘り百五十個、千

個に達した時、何か見えるかもしれない。もし見えたなら

其の時間は浪費でも徒勞でも無く、樂しい有意義な時間

だった事になるであろう。大概人と言うものは、自己満

足の中で、納得して生きている者であろう。例え其れが

高尚な事であろうが、社會的正義であろうが、他者から

見れば、所詮自己満足の世界でしか無い。


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