ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2024、7、9)

縦横・・3x3cm

一昨日の勉彊會で、己の印稿を師に直して頂いた。

今年に入って直して頂いた印稿は既に七枚となり、そ

ろそろ彫り始めなければいけないが、手の痺れが酷く

なかなか踏み出せ無い。七枚の印稿を眺めながら、得

も知れぬ緊張感を感得した。單に四角の中に文字が置

かれているに過ぎず、特段線を飾る事も崩す事も無く、

ただゴロっと置かれているが、何處か文字間に冷徹な

緊張感が有る。この緊張感を表すには、彊い刀力が有

って初めて可能であろう、己如きの刀力では所詮無理

なレベルだと、改めて思った。此が所謂「静寂の美」と

言うものであろう。其処で思い浮かんだ言葉を、古璽文

で刻した「苔上光林下風」(苔上の光林下の風)である。

有るとも無き林中の微風が地上の苔の光を揺らしてい

る、無音静寂の世界である。


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