ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰刻自用印一顆(現代、AD2024、7、26)

縦横・・5x3cm

関東も梅雨入りした、田舎ではこの時期を菜種梅雨と言

うが、ふと子供時代の田舎の風景が頭に浮かんだ、家

後の畑は菜の花の黄色に被われ、家前の田は既に田

植えを終えた稲の高ェ風に揺れている。其れを金文で

刻した「圃吐菜黄田含稲香v(圃は吐く菜の黄を、田は含

む稲の高)である。この時期が過ぎると菜の花も枯れ

枝になり、其の枯れ枝で蛍を取り、持ち帰った蛍を蚊帳

に入る前に家中で解き放ち、蚊帳の中で飛び回る蛍を

見ながら眠りに就いたものである。田を吹き渡る風は涼

しく、蛍も勝手に飛び去って行く、昭和二十年代の田舎

の風景の一コマである。蛍を見かけなくなってから、既

に半世紀が過ぎ去った。


[ギャラリー一覧へ戻る]