ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2024、8、9)

縦横・・5x3cm

極めて私的な言葉を金文で刻した、「西瓜之日追憶之

有」(西瓜の日、追憶之れ有り)である。「西瓜の日」と

は八月七日の事で、田舎を離れる十八年間は、年中

行事の如くこの日に西瓜を食べていた。理由は簡單

で數年前に旅だった弟の誕生日だからである。當時實

家の畑では西瓜を作っており、遊んで喉が渇くと弟と畑

に行き、中がオレンジ色の小さな楕円形の西瓜を取り

、左で手で西瓜の底を持ち、右手の親指の爪で皮を剥

ぎ食べていたが、大きな中身が赤い丸西瓜は、この日

がメインである。父が買ってきた丸西瓜を、藤棚の横

の横穴で冷やし、當日弟と爭って食べていた。故に丸

西瓜と言えば、小生に於いては八月七日が其の日な

のである。しかし、當日一人で食べる西瓜は、何処か

味気ないが、この數年來萬感の想いで食べている。因

みに西瓜は丸々一個を買うもんだと思い續けていたが

、東京へ出て初めて西瓜が切り身で賣られている事を

知った。


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