ギャラリー解説

書画

淡窓廣瀬建、行草書文(江戸時代、AD1782〜1856)

紙本肉筆・・縦110cm、横28cm

「為子美 廣建」の下に、陰刻「廣瀬建印」と陽刻「子

基氏」の落款が押されている。廣瀬淡窓は豊後の人

で、名は建、字は子基、号を淡窓・・青溪・苓陽など

と称し、十六歳で博多の亀井塾(亀井南冥・昭陽父

子)に入門して漢学を修め、帰郷後に家塾咸宜園を

開いて門弟に教授し、経学の老荘を兼修した独特の

学風を形成し、同時に詩を善くし、来学者は四千人

以上に登り、鎮西の大詩宗・西海の詩聖と称された

儒者である。四十五歳以前は、名を簡、字を廉卿と

称していれば、本品は四十五歳以後の作である。「

子美」とは、恐らく門弟の誰かの字であろう。書かれ

ている孔子の言葉からして、咸宜園から巣立ち何処

かの藩に仕官する弟子に、餞に書き送った様に見

受けられる。


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