ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰陽刻自用印二顆(現代、AD2024、9、4)

縦横・・3x1.5、3x3cm

甲骨文で刻した、「刀石奴」と『心刀語石」(刀に心よせ石

に語る)である。此の境地に至れたならば、幸せだと思う

。嘗て漢文訓讀を始めた當時、師から「文字を讀むな、文

を讀め」と教えられ、その後「文を讀むな、行間を讀め」と

言われた。以来半世紀以上訓讀を續けていて、六十半ば

を過ぎた頃から、何も考えずに卷を開と書籍の方から、「

こう讀め、こう讀みなさい」と語りかけられている様な感覚

が生じる様になった。石彫りも同じで、無心に刀を持って

石に向かった時、彫りたい言葉が浮かんだ瞬間に、石の

方から「この字體で彫りなさい」と語りかけてくれる様に成

ったなら、己が心と刀と石とが無意識に一体化した瞬間

であり、得難い感覚であろうが、恐らくこのまま彫り續けて

も、其の様な感覚を覚知する事など無いであろう。


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