ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰刻自用印一顆(現代、AD2025、2、19)

縦横・5x2cm

郷里の家門の前庭には、大きな山桃の木が有った。中

國では「楊梅」と言うが、五月末から六月にかけて紫紅

の實を付ける。甘酸っぱい小さな實で、普通はジュース

やジャムにするそうだが、甘い物の無い時代故に、木の

下に筵を敷いて木を揺らし、筵上に落ちた生の實を拾っ

ては、口いっぱいにほおばって食べていた。當時は大變

美味しく感じたが、果たして今は美味しいと感じるであろ

うか、何しろ甘い物が溢れているのだから、甘いのは老

人の追憶に過ぎないからであろう。印篆で刻した「紫紅山

桃散集筵上」(紫紅の山桃、筵上に散集す)である。


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