ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰刻自用印一顆(現代、AD2025、9、24)

縦横・2.8×2.6cm

『三國志』諸葛亮傳の一節で有名な「前出師表」の一句

を、金文で刻した「夙夜憂歎恐託付不効」(夙夜憂歎し

託付効あらざるを恐る)である。この言葉は身につまさ

れる、何故なら、病氣見舞いで進藤先生と恩師原田先

生の御自宅にお伺いした時、「おい中林、お前が大東で

學んだものを、ちゃんと傳えて行けよ」と仰った。この言

葉は己にとって、或る意味遺命となった。以来今に至る

まで、『陔餘』も『藝文』も讀み續けてはいるが、果たして

如何程のものを若い人々に傳へられたのであろうか、反

省と疑念に苛まれる。「夙夜憂歎」とまでは言わないが、

「託付効あらざるを恐る」は、常に思い續けている。


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