ギャラリー解説蛟蛟
書画
黄虎洞手習い、陰刻自用印一顆(現代、AD2025、10、12) |
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縦横・3.8×2.4cm 西晉の陸機の樂府「猛虎行」の一句を、古璽文で刻した 「渇不飲盗泉水」(渇するも盗泉の水を飲まず)である。如 何なる状況に置かれても、決して道に背く行いは採らない と言う事である。猛虎行には、「渇するも盗泉の水を飲ま ず、熱するも悪木の蔭に息はず」と有る。しかし、此は聖 人君子の行動で、己の如き凡人は「貧すれば貪す」で、 學生時代の帰郷列車に乗った時、其れこそ一錢も無く 數日前からの空腹に堪えきれず、人様の殘り辨當欲し さに、夜行寝臺列車のゴミ箱を漁った事も有った、其の時 は餘りにも己の情けなさと淺ましさに、車窓を見ながら涙 が流れ、己は落ちる所まで落ちたのかなあ、どの面下げ て親に會えるのか、などと暗澹たる氣持であった記憶は、 決して今も消えていない。 |