ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰刻自用印一顆(現代、AD2025、10、16)

縦横・2.4×2.4cm

『孟子』告子上の一句を、金文の回印で刻した「一暴十

寒」(一たび暴《あたた》め十たび寒《ひや》す)である。少

し努力しても繼續しなければ、其の努力も無益で無駄に

なってしまう事である。告子上には、「一日之を暴め十日

之を寒さば、未だ能く生ずる者有らざるなり」と有る。特に

技術的な事に關しては、金言である。漢文訓讀も繼續を

怠ったならば、其の技は決して進歩しない、進歩どころか

逆に後退しかねない。時には休息を入れて「十暴一寒」

ぐらいならまだ良いが、「一暴十寒」ならば行わない方が

まだ良い。「技」と言うものは、死ぬまで鍛錬であり、繼續

こそ力なりである。故に己は今も漢文を讀けている。


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