ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2025、11、28)

縦横・3.5×2.5cm

『南史』江淹傳の一句を、金文で刻した「履影弔心」(影を

履み心を弔ふ)である。逆境になっても誰一人助けてくれ

ず、己の影を相手に氣を晴らす、つまり孤独で悲惨な状

況を表す言葉である。江淹傳に有る獄中よりの上書に、

「迹は昭憲に墜ち身は幽圄に限られ、履影弔心酸鼻痛

骨たり」と有る。己は幸いに履影弔心の思いはした事が

無いが、在職時に所業不届きに就き、役職の解職と二ヶ

月間の自宅謹慎(出校禁止)の處分を受けた。家族は履

影弔心の思いであったろうが、當事者である己は何故か

氣樂で、二ヶ月後に再び出校したら、偶然にも校門で學

務局長と鉢合わせをし、小生が「亦た出て來たよ」と言う

と、局長は「授業が有るから當然だよ」と言う、小生が「

お前さん達が禁足令を出したんだろう」と言うと、局長は「

あ、そうか、そうだった、お勤めご苦勞様でした」と言う、

小生は「お勤めご苦勞様と言うなら、お頭付きの鯛ぐらい

用意して待っていなさいよ」と言い、二人で顔を見合わせ

笑い合った。


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