ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰陽刻自用印二顆(現代、AD2025、12、2)

縦横・2.2×2.3cm

月曜日に湯島の斯文會で、「玉」の話の映像撮影を行う事

となった。「玉」の話など聴きたい人は殆どおられないだろ

うと思って固辭したが、ネットで流すからとのたっての要望

であった爲、敢えてお引き受けした。貴石ではないが「貴」

であり、石ではあるが「玉」である。不可思議な存在の石が

「玉」なのである。「玉」と言う文字は、紅山文化(BC6500

〜5000)の「三聯璧」が、其の原形であったと言われてい

るが、甲骨文字を見ると、なるほどと思わせる。其處で思

いついて「玉」字を彫って見た。甲骨文・金文・戰國篆文・

古璽文の「玉」字四態と、小篆で刻した「玉友杯玉」(玉友

もて杯をば玉とす、回文として讀めば、玉杯の玉友)であ

る。亦た「玉」を見ていてふと思った、「ああ玉杯に花受けて

・・・」とか、「・・・六分の侠氣四分の熱」とか、この様な青春

時代は、今や全く見られない。しかし己の學生時代は、僅

かにせよ其の餘韻は有った、其の餘韻に浸りながら、玉杯

を擧げて高談放言したものであるが、其の高談放言すら

見られない。ああ昭和の老人を捨て置かれ、時代は確実

に變わった。


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