ギャラリー解説

書画

奉天誥命、賜福勒洪阿(清、道光八年十一月九日・AD1828)

縦30cm、横450cm

堂々たる道光八年の奉天誥命である。雙龍紋と鳳凰紋及び満漢両字の「奉天誥命」

をそれぞれ織り込んだ厚手の黄色一枚絹布を用い、その上が顔料を塗った七色に

色分けされており、その上から墨痕鮮やかな満漢両字(右から漢字、左から満字)で

誥命が手書してある。漢字は風格有る伸びやかな品の良い楷書で、皇帝側近の祐

筆の腕を遺憾なく発揮している。上段左側は漢字文の出だしで、右側は文末、下段

左側は満字文の出だしで、右側は文末、それぞれの文末には、麗々たる御璽が押さ

れている。将に清朝中期の第一級資料であると言えよう。この誥命は、内閣学士兼

禮部侍郎福勒洪阿に下されたものであるが、『清史稿』に因れば、福勒洪阿は、祖

父が正黄旗満洲一等男輔國公扎拉豊阿で、父が春寧、乾隆四十八年九月に跡を

襲ぎ、道光九年に弟の子順慶にその地位を譲っている。ここに言う祖父母の「祖父」

とは、「扎拉豊阿」のことである。


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