ギャラリー解説

書画

雪山北島三立、行書十字(江戸時代、AD1636〜1697)

紙本肉筆・・縦127.5cm、横49.2cm

陽刻「恭黙齋」の関防印が押されている。北島雪山は

肥後の人で、名は三立、号を雪山・花隠・蘭隠などと称

し、熊本藩儒北島宗宅の子で、陽明学者であるが、幼

にして長崎へ行き、渡来中国人の兪立徳から文徴明

の風を受け、更に帰化黄檗僧の即非・独立らから書法

を学び、江戸時代の唐様書道の基礎を開いた書家と

して有名で、その門人に細井広沢らがいる。本品は、

右上の関防印のみで、署名も落款も無ければ、恐らく

対幅の右の一幅であろうと思われる。また関防印の「

恭黙齋」に就いても、寡聞にして彼の齋号が「恭黙齋」

であったか否か不明(一般的には、恭黙齋は彼の孫

弟子に当る関思恭の齋号ではあるが、字様が明らか

に思恭とは異なる)であるが、本品は大分の旧家に伝

世し、旧所蔵者が軸外に「北島雪山書 肥後人」と記

している。僅かに伝世している他の雪山の書と見比べ

ると、確かに字様の筆運は雪山の書と認め得るが、果

たして如何なものであろうか、博雅の士の指教を切に

請う次第である。


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