ギャラリー解説

書画

無得石田道、和文尺牘(江戸時代、AD1773〜1840)

紙本肉筆・・縦19.8cm、横19.8cm

「惣助」の署名が有る。石田無得は秋田の人で、名は道、字は

成雅・子道、通称は巳之助・惣助、号を無得・融齋・鐵涯・集虚

・梧桐・梧堂・友道・青龍などと称し、幼時より詩書を善くし、初め

来藩していた国学者で歌人である津村ソウ庵に学び、ソウ庵に

伴われて十七歳で江戸に出て管茶山に師事し、佐藤一斎・伊

沢蘭軒・狩谷ヤ齋・太田南畝・蠣崎波響ら、当時の一流文人や

儒者と交流し、家督を継ぐため帰郷して郷里で詩書会などを開

き、藩の文運発展に寄与した儒者である。彼は、詩書画に渉っ

て巧みな文人儒者であるが、その中でも特に書は優れており、

淡墨を駆使した行草の連綿体に特徴的な書風を示す能書家で

、江戸に永住していれば、米庵や海屋らと名を馳せたであろう

ことは疑い無いと言われている。明治の書家日下部鳴鶴や比

田井天来らも、無得の書を激賞している。尚、森鴎外の『伊沢

蘭軒』には、無得が巳之助・惣助の名で登場している。


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