ギャラリー解説

書画

傳・岸連山・篠崎小竹、草廬三顧圖・行書五律讃(江戸時代、AD1804〜1859)

絹本肉筆・・縦105.8cm、横31cm

岸連山が描いた「草廬三顧図」に、篠崎小竹が行書五言律詩の贊文を書い

ている。岸連山は京の人で、名は徳、字は士道・士進、号を連山と称し、本姓

は青木氏であるが、画家岸駒の門に入って絵を学び、岸駒の養子となって岸

姓を名乗り、京都画壇で活躍した幕末の画家である。一方篠崎小竹は豊後

の人で、名は弼、字は承弼、号を小竹・畏堂・退庵などと称し、本姓は加藤氏

であるが、九歳の時に篠崎三島に学んでその養子となり、十九歳で江戸に遊

び尾藤二洲の学を聞き、一度帰阪後に再び江戸に出て古賀精里に学び、そ

の後大阪に帰って朱子学を奉じ、父三島に代わって門弟に教授した儒者で、

同時に詩文と書でも名高かった人である。但し、本品は「傳」である。何故な

ら連山も小竹も、落款が微妙に異なり且つ同じ筆遣いで、更に印象も異なっ

ている。恐らく別人の絵に、後で彼等の落款や贊文を書き加えたものと推測

されるが、時代に関しては、確かに幕末頃の品である。


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