ギャラリー解説

石材

新絳県黄澄泥有蓋古錢文長方陶硯

縦21cm、横17.5cm、厚さ3.5cm

円形の墨堂以外は、硯縁の四周及び背面・蓋まで古錢紋様を彫り込んだ、山

西省新絳県の所謂絳州澄泥黄色長方陶硯で、甚だ俗っぽい感じがする。

本品は、現在一般的に流布している江蘇省蘇州付近の霊巌山産出の石で、

所謂蘇州澄泥石硯(正確には、霊巌山石硯と言う可きであろう)と称する石硯

(NO169を参照)ではなく、古来より真しやかに言われていた、汾河の水を

細かく濾過した泥を固めて特殊な漆喰とし、其れを彫刻造形し、燃焼して作り

上げた陶硯で、所謂絳州澄泥硯(陶硯)と称される、山西省新絳県の伝承的

な澄泥陶硯である。現在の澄泥陶硯は、燃焼時間の差異に因り、色調が茶

色から黒色まで多様である。亦た山西省には、同じ澄泥陶硯である忻州五台

県の五台山澄泥陶硯も有る。

澄泥陶硯には、代表的な産地が三カ所有り、山西省の絳州澄泥陶硯・河南省

の虢州澄泥陶硯・山東省の魯柘澄泥陶硯である。

尚、陶硯としては、江蘇省宜興の紫紅砂を用いた紫紅陶硯も有る。


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