ギャラリー解説

石材

絳州白澄泥小長方陶硯

縦10cm、横8.4cm、厚さ2cm

右上に丸い海が彫られただけの長方硯

である。山西省新絳県の所謂絳州澄泥

白色長方陶硯である。

本品は、現在一般的に流布している江

蘇省蘇州付近の霊巌山産出の石で、所

謂蘇州澄泥石硯(正確には、霊巌山石

硯と言う可きであろう)と称する石硯では

なく、古来より真しやかに言われていた、

汾河の水を細かく濾過した泥を固めて特

殊な漆喰とし、其れを彫刻造形し、燃焼

して作り上げた陶硯で、所謂絳州澄泥硯

(陶硯)と称される、山西省新絳県の伝

承的な澄泥陶硯である。現在の澄泥陶

硯は、燃焼時間の差異に因り、色調が

茶色から黒色まで多様である。亦た山西

省には、同じ澄泥陶硯である忻州五台

県の五台山澄泥陶硯も有る。

澄泥陶硯には、代表的な産地が三カ所

有り、山西省の絳州澄泥陶硯・河南省の

虢州澄泥陶硯・山東省の魯柘澄泥陶硯

である。

尚、陶硯としては、江蘇省宜興の紫紅砂

を用いた紫砂陶硯も有る。


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